JUASのフォーラムへの参加から
●JUASとのかかわりは
――2005年2月にITグループ会社経営フォーラムに上司と一緒に参加したのが最初です。情報子会社の社長になってからは、IT企業TOPフォーラムに参加していました。IT企業TOPフォーラムは、今まさにかかえている課題を率直に意見交換する場で、非常に有意義でしたね。ほかには、社内の日本語文章力をもっと上げたいという思いから、JUASセミナーの「ソフトウェア文章化作法」を社内で企画したこともありました。
●今までは参加者だったわけですが、JUASに入ってみていかがですか
――JUASは、会員企業をはじめ、いろいろな方のご協力で成り立っていることを実感しています。皆さまとの絆のおかげで、様々な活動ができていることに感謝しております。
ただ、ずっと同じままでは組織は衰退していってしまいます。10年後を思い浮かべながら、何をすれば、会員企業や社会に貢献できるのだろうかと、JUASの在り方を深く考えるようになりました。
学びが仕事を支える
●島さんのご経歴は、IT部門が多かったのですか?
――はい、2年間のグループ内物流会社経営企画部長、1年半の営業拠点総務部長以外はすべてIT関係でした。わずか2回でしたが、IT部門以外の経験は人脈も含め、貴重な財産となりました。ITに関しては、社内/社外(パッケージ開発、外販)、運用、インフラ統轄、企画と一通り経験してきました。
入社してIT部門に配属されるのは晴天の霹靂でしたね。協力会社の方とも対等に話せるようになりたくて、30代で高度情報処理技術者試験をいくつか取得しました。
40代になる頃、IT企画の業務を任せられ、それまでの現場開発とは異なり、何を考え、どうやって周囲を巻き込み、説明すればよいのか分からず行き詰りました。この時に上司の勧めでクリティカルシンキング研修を受講しました。ここで「何を考えるのかを考える」という言葉に出会い、今も仕事の基盤の一つになっています。
神は細部に宿る

――「自分なりに納得して進める」そしてその内容を関係者にも丁寧に説明し、「巻き込んで進める」ということです。情報子会社の社長時代は、毎月1日の社長メッセージ、年2回の各回5~6度に渡る社員との対話会などをしてきました。
「神は細部に宿る」という言葉も大切にしています。物事は細かいところまでつめないと解決できないと考えます。問題の根源や関連性を深く掘り下げ、物事のつながりを理解した上で全体計画を考えることが大切だと考えています。以前の会社では、考える人とやる人が別で、企画側が組織の新設や変更を課題対応の成果とする場面に遭い、実行側として反発を感じることがありました。重要なのは組織を変更することではなく、そこで何を行うかです。
自分で考えたことを自分でやっていくことにやりがいを感じます。計画段階での細やかな配慮が、問題が発生した際の解決や軌道修正の鍵になるのです。
失敗があったから、成果を得ることができた
●これまでの失敗や仕事の成果は何ですか?
――失敗は枚挙にいとまがありませんし、それがあっての成果だと思っていますが、実例を挙げるのは所属していた会社の手前、控えさせてください(笑)。
成果としては、情報子会社時代の「品質強化とコスト削減の両立、失敗プロジェクト0」です。運用でインシデント管理を開始した当初は年間3,000件以上あった障害が4年後に700件まで減り、事業部門とのSLAで定義していた特定大規模障害(事業にとって起こしてほしくない障害)を初めて0とすることができ、社員と喜びを分かち合うことができました。開発の失敗プロジェクト0も年数がかかりましたが、メンバー、事業会社協力のもと、QCDSを遵守できる状態をつくることができました。
また、成果といえるかどうかわかりませんが、情報子会社社長としては、「アプリケーションロードマップの作成」も重要だったと考えています。グループ内に数百あったシステムの寿命、再構築する際に改善すべき点、概算コストなどをまとめたのですが、社員に対し、自分達が維持・管理するシステムの将来を主体的に考えることは最も重要なミッションだと認識して欲しいという思いがありました。また、概算コストを出したインパクトも大きく、数年後グループを挙げてERPを導入することになりましたが、これが起点だったと思っています。
まじめにしっかりと。有益な場を作り続けていきたい
●ご自身の強みや持ち味は
――唯一の強みは「まじめで丈夫」なことです。 最近これしかないと実感するに至り、大切にしたいと考えています。まじめは、よく言われます(笑)。
仕事から逃げないとも言われてきました。
身体の方は39歳でヘルニアを患って以来腰痛体操を始め、25年欠かしたことはないです。最初は10分程度でしたが、体の色々なところに支障が出てメニューが増え今は30分行なっています。ジョギングは、以前は、毎月100キロ以上、今は40キロ程度走るようにしています。
まじめだから「仕事から逃げない」と言われてきたのだと思います。効率性をあげて楽をすることより、自分の頑張れる範囲で頑張り切りたいです。
安心して参加でき、参加してよかったと言っていただける場を作りたいですね。会員企業にとって、有益な場を作り続けることが私たちの役割です。そして、会員企業、ひいては日本の発展に寄与していきたいと考えています。

※掲載内容は2025年6月取材時のものです。
※インタビューはJUAS姉川、五十井が担当しました。
・1962年設立の「日本データ・プロセシング協会」が前身。
1992年に組織を拡充・改組し、今の「日本情報システム・ユーザー協会」となる。
・主な活動:フォーラム、研究会、セミナー、イノベーション経営カレッジ、企業IT動向調査、JUASスクエア、プライバシーマーク審査
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