『企業IT動向調査2024』プレスリリース第2弾を行いました

2024年2月13日

PDF版はこちらをご確認ください。


「企業IT動向調査2024」の速報値を発表
⇒言語系生成AIの導入進む。売上高1兆円以上は8割(準備中含む)が活用フェーズに
⇒売上高1000億円以上1兆円未満でも約半数が生成AIの活用を推進
⇒自社のDX推進を実感できている企業は29.3%、目的は既存事業のコスト削減


 

一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(略称:JUAS)は、企業のIT投資・IT戦略などの動向を調べる「企業IT動向調査2024」(2023年度調査)を実施しました。IT戦略立案の一助として、速報値(第2弾)を発表します。調査概要はリリース最終ページをご参照ください。

生成AIの導入進む。売上高1兆円以上では8割が言語系生成AIの活用を推進中

生成AIの導入が急速に進んでいます。「ChatGPT」をはじめとする「言語系生成AI」は回答者全体の8.4%が「導入済み」、18.5%が「試験導入中・導入準備中」と回答しました(図1)。

特に大企業での導入が進んでいます。売上高1兆円以上の企業では、45.0%が言語系生成AIを「導入済み」、35.0%が「試験導入中・導入準備中」であり、8割もの企業が生成AIの活用フェーズに入っています(図2)。売上高1000億~1兆円未満でも約半数(導入済み17.9%、試験導入中・導入準備中30.2%)が活用を推進中です。

導入と並行して、生成AIを活用する際のガイドライン策定も進んでいます(図3)。売上高1兆円以上では77.5%が言語系生成AIの活用ガイドラインを策定済み。22.5%がガイドライン策定を予定しています。売上高1000億~1兆円未満では策定済みが41.3%、策定予定が35.8%でした。

言語系生成AIの利用目的・用途では、「生産性向上(業務改善等)」が88.0%と圧倒的で、次いで「人材不足解消」が35.7%と続きます(図4)。売上高規模が大きい企業では、業務手法の見直しや作業の効率化、さらにコストダウンといった課題解消への取り組みに敏感であり、検討・導入に対する体制も組みやすいことからも、急速な導入や検討の進展に影響していると考えられます。

図1 AIの導入状況

図2 売上高別 言語系生成AIの導入状況

図3 売上高別 言語系生成AI活用時のガイドライン

                      
図4 言語系生成AI導入検討時の利用目的・用途

自社のDX推進を実感できている企業は29.3%。DX推進の目的は既存事業のコスト削減

「DX推進ができていると思うか」の質問で、「非常にそう思う」または「そう思う」と回答した企業は全体の29.3%でした。22年度調査より4.6ポイント増、21年度調査より6.5ポイント増となり、着実にDX推進が実感できている企業が増えてきています(図5)。一方、未だにDX推進に対し、「そう思わない」「全くそう思わない」という回答も38.5%と少なくない状況です。

売上高別にみると大きく差があり、売上高が大きい企業ほどDX推進が実感できている割合が高く、売上高1兆円以上の企業では「非常にそう思う」「そう思う」と回答した企業は87.5%と年々上がってきています。一方、売上高100億円未満の企業では、46.5%の企業で「そう思わない」「全くそう思わない」と回答しており、まだまだDX推進まで着手しがたい様子がみえました(図6)。

DX推進ができているとする企業の着実な増加がみえるなかで、DXによって何を期待するかを確認すると、「既存事業のコスト削減(業務の自動化など)」が一番多く、84.4%(*1)の企業が効果を狙い実施しています。反対に、「新規事業・サービスの企画、開発」や「新たな事業領域への進出、事業モデルの再構築」となると「効果を狙っていない」企業が4割を超えています。現時点でDX推進の目的の中心となっているのはプロセス刷新を通じた生産性の革新が先行しており、新規事業の創出といった変革への取組はDX推進上の目的としても難易度が高いようです。(図7)。
*1:「期待以上の効果が得られている」~「まったく効果が得られていない」を合算した値

図5 DX推進状況

図6 売上高別 DX推進状況

図7 DX推進の目的別 効果レベルの状況

「企業IT動向調査2024」の調査期間は2023年9月8日から10月26日。
調査対象は、東証上場企業とそれに準じる企業の4500社で、各社のIT部門長に調査依頼状を送付し、Webアンケートで976社より回答を得ました。
正式なデータや分析結果については、ダイジェスト版と詳細な分析結果を掲載したダウンロード版を2024年4月に公開予定です。

PDF版はこちらをご確認ください。

■連絡先・お問合せ先:
一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会
担当:鈴木
E-mail:itdoukou@juas.or.jp TEL:03-3249-4101