『企業IT動向調査2023』プレスリリース第1弾を行いました
2023年1月24日
「企業IT動向調査2023」の速報値を発表
⇒企業の46.1%が23年度にIT予算を増やす見込み。DI値は37.7ポイントと過去10年で最高
⇒IT予算増加の理由で急進する「デジタル化対応」
⇒DX推進の課題は「人材・スキルの不足」。今後求められる人材の1位は「IT戦略担当」
一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(略称:JUAS)は、企業のIT投資・IT戦略などの動向を調べる「企業IT動向調査2023」(2022年度調査)を実施しました。IT戦略立案の一助として、速報値を発表します。調査概要はリリース最終ページをご参照ください。
■デジタル化関連投資を中心に23年度もIT投資意欲は高い
情報システム・ユーザー企業の多くは、23年度もIT予算(*1)を増やしそうです。IT予算を22年度よりも「増加する」(予測)と回答した企業は全体の46.1%を占めました。「増加する」割合から「減少する」割合を差し引いた指標(DI値)は37.7ポイントと、過去10年間で最高値となりました(図1)。業務のデジタル化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の波が続いているほか、企業の業績が回復基調にあることも背景にありそうです。22年度の業績見込みでは、半数を超える54.1%が「増収増益」と回答しました(図2)。
IT予算増加の主な理由は、「業務のデジタル化対応」、「基幹システムの刷新」、「基盤整備・増強」が挙がります。特に22年度から23年度にかけてぐっと伸びそうなのが、「事業変革に向けたデジタル化対応」と「業務のデジタル化対応」です。一方、「基盤整備・増強」は21年度から優先順位の低下がみられ、新型コロナ禍で急速に伸長したところからひと段落したようです(図3)。
*1:本調査における「IT予算」とは、当該年度に支出予定の金額(キャッシュベース)を基本とし、金銭的な支出を伴わない費用(償却費等)は除外しています
図1 IT予算DI値の推移
■半数以上が「人材・スキルの不足」に直面。DX推進で今後求められる人材タイプは「IT戦略担当」
好調なIT投資の裏で、課題も深刻化しています。DX推進における課題で最も多かった回答が、「人材・スキルの不足」です。売上高規模によらず課題の1位ですが、特に売上高規模の大きい企業で顕著に表れています(図4)。
重視する人材タイプでは、現状と今後で大きな差が現れました(図5)。回答比率(複数回答)の高い順にみると、現状重視しているのは「情報セキュリティ担当」(47.9%)、「業務改革推進・システム企画担当」(34.7%)、「IT戦略担当」(33.6%)です。一方、今後重視する人材タイプとしては、「IT戦略担当」が46.9%(現在との差分は13.3ポイント増)と急進します。これに「情報セキュリティ担当」(41.2%、同6.7ポイント減)、「DX推進担当」(40.2%、同12.7ポイント増)と続きます。戦略立案や事業変革など経営や事業に詳しい人材タイプの人材ニーズが高まりそうです。
スキルの高度化や多様化に伴い、人材育成方針や教育カリキュラムに変更があったか尋ねたところ、「すでに変更した」または「変更を検討している」という回答をした企業は52.7%でした。売上高規模が大きくなるほど顕著で、売上高1兆円以上の企業では92.7%の企業で人材育成方針・教育カリキュラムの変更に着手しています(図6)。IT部門におけるリスキリングの波は、今後、さらに大きくなっていきそうです。
「企業IT動向調査2023」の調査期間は2022年9月9日から10月27日。
調査対象は、東証上場企業とそれに準じる企業の4500社で、各社のIT部門長に調査依頼状を送付し、Webアンケートで1025社より回答を得ました。
正式なデータや分析結果については、ダイジェスト版と詳細な分析結果を掲載したダウンロード版を2023年4月に公開予定です。
PDF版はこちらをご確認ください。
■連絡先・お問合せ先:
一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会
担当:山畔・鈴木
E-mail:itdoukou@juas.or.jp TEL:03-3249-4101